便潜血陽性を指摘された方へ
便潜血検査は、健康診断などで大腸がんのスクリーニング検査として行われています。陽性は、消化管のどこかから出血しているという意味であり、出血している場所や原因を調べるための精密検査が必要になります。現在、便潜血検査は2日法が一般的に広く行われていますが、1回（1日分）でも陽性の結果が出た場合には精密検査が必要です。
陽性で受ける精密検査には、大腸カメラ検査、CTコロノグラフィ―などがあります。精度の高い結果を得るためには、どの検査の場合も事前の前処置が必要です。この検査の中で、検査精度が高く、病変の組織を採取して確定診断が可能なのは大腸カメラ検査です。また、大腸カメラ検査であれば検査中に発見した前がん病変の大腸ポリープをその場で切除する日帰り手術を行うことで将来の大腸が予防につなげることもできます。便潜血検査陽性の場合、精密検査を行って大腸ポリープが発見される確率は30%とされています。こうしたことから当院では大腸カメラ検査をお勧めしています。
なお当院では、専門医が大学病院レベルの最新内視鏡システムを使って精度の高い検査を行っています、鎮静剤を使うことで心身への負担を最小限に抑えた検査が可能ですので、ご相談ください。
便潜血検査で陽性となった場合
便潜血検査陽性は、肉眼で見えない程度の微量の血液が便に混じっているということです。消化管からの出血を起こす疾患は数多く存在し、さらに痔などの肛門疾患で陽性になることもあります。こうしたことから陽性の場合も原因をしっかり確かめるために二次検査として精密検査が必要になります。
造影剤を使ったX線検査
便潜血検査陽性の2次検査として造影剤を使ったX線検査を行っている医療機関も未だにありますが、この検査は大腸カメラ検査に比べると精度が低く、粘膜表面の微細な変化や毛細血管分布の確認ができず、炎症の正確な診断もできません。さらに疑わしい病変をX線検査で発見できた場合にも確定診断のためには別途大腸カメラ検査を受ける必要があり、二度手間になってしまいます。低線量とはいえ、X線検査による無駄な被ばくを避けるためにも、最初から大腸カメラ検査を受けるようお勧めしています。
大腸カメラ検査は早期大腸がんの発見や確定診断が可能な唯一の検査
大腸カメラ検査は、大腸全域の粘膜をくまなく観察することができ、病変の状態や範囲を正確に把握できます。また、当院では毛細血管の分布を確認できる特殊光を使ったNBIをはじめ、高度な最新機能を搭載した大学病院レベルの内視鏡システムを導入し、研鑽を積んだ専門医が全ての検査を行っています。がん細胞は活発に増殖するため栄養や酸素を大量に必要としており、毛細血管を周囲に集める傾向があります。NBIで毛細血管分布を観察することで粘膜表面の変化に乏しい微細な早期大腸がんの発見も可能になっています。検査中に組織を採取できますので、病理検査によって多くの疾患の確定診断が可能です。さらに、検査中に発見した大腸ポリープを日帰り手術としてその場で切除し、将来の大腸がん予防につなげることもできます。
専門医による楽な大腸カメラ検査
大腸カメラ検査は、検査を行う医師の知識や技術力、経験、使用する機器によって精度や患者様の心身への負担が大きく変わる検査です。当院では大学病院レベルの最新内視鏡システムを導入し、高度医療機関で研鑽を積んだ専門医がクオリティの高い検査を行っています。鎮静剤を用いた検査により、眠っているような楽な状態で検査を受けていただけます。他にも大量の下剤服用なしで受けられる大腸カメラ検査など、楽に受けていただける様々な検査に対応していますので、苦手意識のある方も安心してご相談ください。
早期大腸がんや前がん病変のポリープは検査中の切除が可能
早期大腸がんや前がん病変のポリープは、大腸カメラ検査中に切除する日帰り手術が可能です。進行した大腸がんは命の危険もあり、大変な治療が必要になりますが、早期大腸がんの段階で切除することで、ほとんどの場合、完治が期待できます。また前がん病変の大腸ポリープ切除は、将来の大腸がん予防につながります。入院の必要がなく、事前の食事制限や下剤服用も1回ですみます。また、切除のために別日に改めてスケジュールをつくる必要がなく、お忙しい方にもお勧めできる検査です。
早期大腸がんや前がん病変のポリープは自覚症状がほとんどなく、進行させてしまうケースが現在も多いのですが、定期的に大腸カメラ検査を受けることで大腸がんは怖い病気ではなくなります。
便潜血検査陽性は大腸カメラ検査を受けるきっかけ
便潜血検査陽性で大腸カメラ検査を受けた場合、発見されることが最も多いのは痔です。大腸がんが発見されるのはわずか数%とされています。ただし、前がん病変の大腸ポリープは30%発見されていると報告されており、その場で切除が可能なことから充分な大腸がんの予防効果があり、有効性が高い検査です。
便潜血検査陽性になった場合には、大腸カメラ検査を受けるいいきっかけになったと捉え、早期発見や予防に役立てましょう。
便潜血検査陰性の方へ
大腸がんには出血を起こさないものもあります。大腸がんや大腸ポリープは、硬い便が表面を擦ることで出血を起こしています。大腸の奥にあり、やわらかい便しか通過しない場所では大腸がんや大腸ポリープがあっても出血せず、便潜血検査の結果は陰性となってしまいます。進行した大腸がんでも陰性になることが珍しくありません。便潜血検査陰性の場合も油断せず、症状のない段階で大腸カメラ検査を受けることが早期発見につながります。便潜血検査陰性で特に症状がない場合も、大腸ポリープの発症リスクが上昇しはじめる40歳を超えたら、大腸カメラ検査を受けるようお勧めします。
