失神

失神の原因はストレス?
なぜ起こるか

失神失神は数十秒以内の短時間に急に血圧が下がることによって、脳全体の血流が減少して意識を失う症状です。水分不足や長時間立ちっぱなしになることで生じるリスクがあり、お薬の内服やストレスなどで発症する場合もあります。「気を失う」「気絶する」「脳貧血で倒れる」などと言われることが多いです。多くは数秒から数分以内に意識が戻り、後遺症が残ることもありません。しかし、急に意識を失って転倒や事故が起こる恐れがあります。また、心臓病によって生じた場合は入院加療を要することもあります。
失神してしまった方は、一度当院までご相談ください。

失神の種類

失神は、反射性失神(神経調節性失神)、起立性低血圧による失神、心原性失神に分けられます。以下でそれぞれについて詳しく解説します。

心原性失神

心臓病によって生じる失神です。
なかでも不整脈が原因となることが一番多く、徐脈性不整脈と頻脈性不整脈によるものに分けられます。必要があれば、植え込み型除細動器や心臓ペースメーカーを使用します。
不整脈の他には、心臓弁膜症、冠動脈疾患、心臓腫瘍、肥大型心筋症、急性大動脈解離肺塞栓症などによって生じます。

血管迷走神経性失神
(VVS)

反射性失神の中で一番起こりやすく、どちらかと言うと女性が発症しやすいですが、年齢層は様々です。
長時間立ちっぱなしになることや水分不足によって起こりやすく、アルコールや疼痛、お薬の内服、ストレスなどによって生じることもあります。多くの場合、前兆症状として吐き気や胸部の不快感、冷や汗などが起こり、失神した状況からVVSと推測することは可能ですが、確定診断のためには検査を実施する場合もあります。

起立性低血圧による失神

起立時に起こる急な血圧低下が原因で生じます。
長期の臥床、自律神経の乱れ、飲酒、脱水などによって起こります。
低血圧を解消するために水分や塩分の摂取、α受容体刺激薬によって治療します。

状況失神

次のような特定の状況で血圧低下や徐脈が生じることで起こります。

  1. 排便失神・・・高齢の女性が発症しやすく、腹痛などの消化器症状が起こる傾向にあります。
  2. 排尿失神・・・中高年の男性が発症しやすく、立位での排尿時に生じる傾向にあり、特に飲酒の後に起こりやすいです。
  3. 咳嗽失神・・・中年の肥満体型の男性が発症しやすく、COPDを併発するリスクも高いとされています。自律神経の反射の異常によって生じることがほとんどです。
  4. 嚥下性失神・・・あまり頻度は高くありませんが、咳嗽失神のように嚥下時の自律神経の反射の異常によって生じるとされています。

上記は、腹痛予防、坐位での排尿、飲酒などのリスク要因の排除といった生活指導によって防止可能なケースがほとんどです。

頸動脈洞症候群

運転、着替え、荷物の上げ下ろしなどの頭部の伸展・回旋や、ネクタイなどで頸部を締め付けることで頸部の圧力を感じる部位に刺激が加わって失神する場合があります。医師による正確な診断が必要です。治療では、頭部の伸展・回旋を防止することや、ネクタイなどで頸部を圧迫することを避けるといった生活指導が基本となりますが、ペースメーカーを使用することも稀にあります。

反射性失神
(神経調節性失神)

失神の中で一番起こりやすく、自律神経の失調によって引き起こされ、大きなストレスや長時間立ちっぱなしになること、疼痛、脱水、飲酒などがリスク要因となります。
排便、排尿、咳嗽、嚥下、嘔吐、息こらえなど、特定の状況で生じる失神も反射性失神の一種です。失神を防ぐためには、長時間立ち続けることを控え、水分や塩分を摂取することが重要です。
前兆症状が生じることがほとんどで、症状が起こったタイミングですぐに座ったり、横になると脳の血流の低下を防止することに繋がり、失神の予防が見込めます。
前兆症状としては、目の前が真っ暗になる(もしくは白くなる)、冷や汗、血の気が引く感じがする、気分不快、嘔吐、顔面蒼白などがあります。