心不全・心臓弁膜症

心不全について

心臓は、体中に血液を届けるポンプのような働きをして、24時間絶えず機能しています。「心不全」とは、この心臓で何かしらの問題が生じて、正常に機能しない状態のことであり、病名ではありません。心筋梗塞、狭心症、心臓弁膜症、高血圧、心筋症など複数の疾患によって起こります。

心不全の2つのタイプ

心不全は急性心不全と慢性心不全に大別されます。

急性心不全

急性心筋梗塞などによって生じる、いわゆる急性の心不全のことです。重度の呼吸困難などの症状が急に起こります。血液量が著しく少なくなり、ショック状態になる恐れもあります。

慢性心不全

心筋症、高血圧、心臓弁膜症などによって起こり、少しずつ進行します。
症状が起こるのは遅いですが、症状が起こった際には既に病状が大きく進行していることがほとんどです。

心不全の前兆・症状

心不全の前兆・症状心不全の前兆はありません。
特段の自覚症状がなく、自覚した時には既に心不全が大きく進行していることがほとんどです。
何となく息苦しいなどの症状が起こっていれば、一度当院を受診してください。

注意すべき症状

次のような症状が起こっていれば、なるべく早めに当院までご相談ください。特に、慢性心不全の症状が起こっている場合は、既に病状が相応に進行している恐れがあります。

  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 倦怠感や疲労感
  • 足のむくみ
  • 1週間で2kg以上体重が増加

心不全の原因疾患

心筋梗塞狭心症心臓弁膜症、心筋症、不整脈高血圧、先天性心疾患など、複数の疾患によって生じます。

⼼臓弁膜症について

⼼臓弁膜症について心臓には右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋が存在します。部屋と血管の間、部屋と部屋の間には、ドアのように開閉して逆流を防止する弁が存在します。心臓弁膜症は、複数の原因で弁が正しく機能しなくなった状態です。弁が働かなくなる原因としては、感染、加齢、外傷、感染、先天的要因などが挙げられます。心臓弁膜症はどの弁でも生じる可能性がありますが、95%以上が僧帽弁と大動脈弁で生じると言われています。

4つの心臓弁

  • 三尖弁:右心室と右心房の間
  • 肺動脈弁:肺動脈と右心室の間
  • 僧帽弁:左心室と左心房の間
  • 大動脈弁:大動脈と左心室の間

心臓の弁の役割

弁は心臓の内側で、血液が流れている時に開き、流れていない時は閉じることで血液の逆流を防止しています。弁の機能障害は「閉鎖不全症」と「狭窄症」に分けられます。弁が正常に閉じなくなることで逆流が生じるのは閉鎖不全症、正常に開かなくなって血流が滞るのは狭窄症です。

心臓弁膜症の余命
について

心臓弁の異常のほとんどは深刻なものではなく、健康にも大きな影響はありません。しかし、弁の狭窄もしくは逆流によって心臓に負担がかかると、心不全を起こして息切れを起こすことがあります。
また、重度の弁膜症もあり、時間が経つにつれて心室内腔が広がることで、運動性が落ちる恐れがあります。余命の延長や症状の軽減のために治療(置換もしくは修復)をすることもあります。

代表的な心臓弁膜症

大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症

心臓弁膜症の検査

心臓弁膜症の検査聴診によって心雑音が判明する、もしくは心電図検査で問題が発見されることも珍しくありません。なお、詳細な評価と確定診断のためには、心臓超音波検査(心エコー検査)が必要です。肋骨の隙間から心臓の状態を直接確認します。この検査で痛みが生じることはなく、胎児の状態をチェックする目的でも実施される安全な検査です。
さらに詳しく心臓や弁の状態を確認したい場合は、超音波の端子を食道内に挿入して心臓の裏側から超音波を当てる経食道心エコーや、心臓カテーテルを実施することもあります。

心臓超音波検査

心臓弁膜症の治療

以前より実施されてきた弁形成術や弁置換術などの外科手術の他、昨今は複数のカテーテル治療が行われています。
高度な治療を要する場合は連携先の高度医療機関にお繋ぎします。
なお、重篤な心不全を起こしている場合は心臓移植を行うことがあります。