膀胱炎とは
膀胱炎は書いて字のごとく尿道からばい菌が入って膀胱に炎症が起こる病気です。尿道から膀胱まで女性の方が短いことから女性に非常に多い病気です。軽症例も含めると日本人の女性は、二人に一人は膀胱炎を経験していると言われています。
症状としては、
- 排尿痛:排尿時に差し込むような痛みが生じます。
- 頻尿:排尿回数が普段より増え、30分から1時間ごとにトイレに行きたくなることがあります。
- 尿の濁り:ばい菌が尿に混じることで色が濁ります。場合によっては、悪臭などを伴うこともあります。
の3つが三大症状として有名です。他にも排尿違和感、残尿感や血尿などといった症状を呈することもあります。女性の中でも20代から40代の方が多いです。トイレなど仕事で我慢してしまうと、ばい菌を排尿で追い出す機会が減ってしまい膀胱炎をおこしやすくなるため、繰り返して膀胱炎を起こす人も多いです。患者様によっては膀胱炎が起きたと、症状ではなく病名で訴える位、頻回の方もいらっしゃいます。
この膀胱炎ですが、原因となるばい菌の大部分が細菌性です。その細菌の中でも75-85%が大腸菌です。大腸菌は、文字通り大腸にある菌、つまり便に含まれている菌です。大部分は無害ですが、一部有害なものがあり、膀胱炎に限らず胃腸炎の原因になることもあります。有名なものでは、O-157が別名:腸管出血性大腸菌として腸炎の原因になります。ただし腸に無害なものでも、尿道から膀胱に入ってしまうと大部分は有害になります。
また大腸以外でもブドウ球菌などの可能性も5-10%認めます。ブドウ球菌は皮膚に常在している菌です。その他、
の3つが三大症状として有名です。他にも排尿違和感、残尿感や血尿などといった症状を呈することもあります。女性の中でも20代から40代の方が多いです。トイレなど仕事で我慢してしまうと、ばい菌を排尿で追い出す機会が減ってしまい膀胱炎をおこしやすくなるため、繰り返して膀胱炎を起こす人も多いです。患者様によっては膀胱炎が起きたと、症状ではなく病名で訴える位、頻回の方もいらっしゃいます。
この膀胱炎ですが、原因となるばい菌の大部分が細菌性です。その細菌の中でも75-85%が大腸菌です。大腸菌は、文字通り大腸にある菌、つまり便に含まれている菌です。大部分は無害ですが、一部有害なものがあり、膀胱炎に限らず胃腸炎の原因になることもあります。有名なものでは、O-157が別名:腸管出血性大腸菌として腸炎の原因になります。ただし腸に無害なものでも、尿道から膀胱に入ってしまうと大部分は有害になります。
また大腸以外でもブドウ球菌などの可能性も5-10%認めます。ブドウ球菌は皮膚に常在している菌です。その他、
- プロテウス
- シュードモナス属
- エンテロバクター
などの細菌感染や真菌感染でおこることもあります。ただしこれらは免疫力が低下している人に起きるため若い人には原因になりづらいです。また、膀胱炎はこれらの菌が入ったらすぐに症状が出るわけではありません。通常は尿で排出されるタイミングで一緒に出て行ってしまい症状が起こることはないです。しかし、
- 多忙などによるトイレ回数の減少
- ストレスや疲労による免疫力の低下
- 生理前後や性行為後などばい菌が繁殖されやすいタイミング
- 下痢などの胃腸炎に伴い、ばい菌が増殖
等様々な原因で膀胱炎を起こすと言われています。ただし、これら思い当たることがなくてもふとした瞬間に膀胱炎は起こるので、症状が出たらすぐ病院に行くようにしましょう。ばい菌が繁殖すればするほど症状も強くなるし、治りも遅くなります。
膀胱炎と鑑別が必要な腎盂腎炎について
膀胱炎と聞くと日常的な病気で薬さえ飲めば楽に治る病気なんて甘くみている方もいるかと思います。しかし油断大敵で膀胱炎も悪化すると怖い病気に移行する可能性があります。それが腎盂腎炎という病気です。膀胱からさらにばい菌が逆行していくと尿管を通過して腎臓まで炎症が起こってしまうのです。腎臓は血液からの不要物などを回収して尿を作って外に出す、ごみ処理場のような役割を担っています。そのため腎臓に炎症が起こってごみをうまく処理できなくなると、
- 発熱
- 全身倦怠感
- 吐き気、嘔吐
- 腰部から背部痛
等の全身症状を合併します。特に発熱は非常に重要な所見です。膀胱炎は一般的に発熱は起こらないと言われているので、熱があるということは、我々医師は腎盂腎炎まで悪化していると考えます。この腎盂腎炎は若い女性に限らず、高齢者男女とも起こりえる病気です。特に、
- 前立腺肥大などで尿路障害がある方
- 寝たきりで栄養状態が悪く免疫力が低下している方
- 尿の管(バルーン)が挿入されており、外から内部にばい菌が入りやすい方
- 糖尿病など感染症をおこしやすい病気の方
等の高齢者の方は頻回に起こりえます。逆に高齢者の方が発熱した場合は、
- 肺炎
- 腎盂腎炎
の二つの病気が大部分です。この腎盂腎炎は全身にばい菌が回ってる危険な状態で、ただただ内服薬で治療してよいか注意が必要です。採血や尿検査の結果、必要があれば点滴で腎臓についてるばい菌を洗い流したり、抗菌薬を点滴で行くことで早急にばい菌をやっつけるように治療することもあります。重篤な場合は命に関わることもあるため、入院が必要になります。
当院の膀胱炎の診察について
膀胱炎は若い女性に非常に多い病気です。一方で病院に行くのをためらってしまう方も多い病気です。
- 病院で膀胱炎というのが恥ずかしい。
- 行くのが面倒だから放置しよう。
- 前にもらったお薬が余ってるから飲んでおこう。
等様々な理由で放置してしまっている方もいるのではないでしょうか?特に女性の方は泌尿器科に受診することに恥じらいから抵抗から示す方もいるかもしれません。泌尿器科に入るところを知り合いに見られたらどうしようなどと考えてしまって、悪化した人を私も多く経験しております。当院は内科として幅広い疾患を受け入れております。喘息や糖尿病、高血圧症など定期受診の方もいれば、のどが痛い、咳が続く、お腹が痛いなど急性期疾患も様々な方が受診されます。予約外の方も含めてどのような内科疾患でもお受けしているため、患者様にとって気軽に受診しやすい雰囲気づくりに努めております。
また、膀胱炎の診断には尿検査が必須になります。膀胱炎の方は頻尿になる方も多いので診察前に尿検査を済ませておきたい方もいるかもしれません。当院では事務に伝えていただければ検査前に尿検査を行うことも可能です。
また尿検査を皆が使用するトイレで行うことに抵抗がある方もいるかもしれません。当院はトイレは待合室に一つ、検査用に診察室前に一つ配備しています。そのため患者様がお待ちしている待合室のトイレとは別にご用意しているため、安心して尿検査行っていただければと思います。当院では尿検査試験紙にて5分程度で結果を出すことができます。項目は
- 潜血
- 白血球
- 糖
- タンパク質
- ウロビリノーゲン
の5つです。この中で白血球というのが重要な数値になります。白血球はばい菌がいることで戦おうとする免疫細胞です。通常の尿であれば認めることはありません。この白血球が尿にいるということはばい菌がいる=膀胱炎という診断につながります。クリニックによっては医師が尿を直接顕微鏡でみることで細かい数をカウントすることになるかと思います。当院では顕微鏡検査は施行していないため細かい数値までは測定できません。その代わり看護師が尿検査試験紙を行うことで結果をすぐに出すため、スピードに関しては顕微鏡より早いかと思います。また試験紙でも1+から3+までと大まかな重症度は示せます。治療薬に関しても尿の正確な白血球数で決定することはないです。白血球数の有無による診断である程度決定されるため、泌尿器科と同じ治療薬を処方することが可能です。
膀胱炎の当院の治療について
膀胱炎のほとんどの方は抗菌薬で治療を行います。先ほど記載した大腸菌はじめとした細菌性の可能性を考慮し、抗菌剤には、
- ニューキノロン系剤(クラビット)
- セフェム系剤(メイアクト、フロモックス)
などの薬剤を使用します。これらの薬は内科でも、泌尿器科でもどちらでも処方できる薬です。内科だから処方できない薬はないので安心してください。抗菌薬に加えて痛みがある方はお伝えいただければ一緒に痛み止めも処方させていただきます。
一方で最近問題になっているのが、薬剤耐性菌(抗菌薬が効きにくい細菌)です。特に、膀胱炎を繰り返して抗菌薬をよく内服している人は要注意です。徐々に抗菌薬にばい菌が慣れてきて、効きづらい菌が繁殖しているかもしれません。だからこそ前と同じ薬が効くとは限りません。余ってるから飲んじゃおうというのはリスクがあるのでぜひ一度クリニック受診してみましょう。当院では、内服治療すると同時に尿を培養しております。尿培養とは膀胱炎の原因となっている細菌を特殊な環境で育て、菌の種類を決定します。外部の会社に委託することで正確な菌の判別だけでなく、先ほどの薬剤耐性があるかどうかも確認します。つまりその菌に対して、どのお薬が効いて、どのお薬が効かないか確認する検査も当院では施行できます。この培養検査は総合病院でも培養するまで日数を要するのですぐにはできません。そのため当院の処方したお薬が効かないから他院受診をしてしまうとまた一からやり直しになるため、膀胱炎の症状が改善しない人は再度受診していただければと思います。
一方前述したように膀胱炎から腎盂腎炎まで波及しているかどうかが重要になります。膀胱炎症状に加えて発熱がある方は非常に可能性が高くなります。その他、
- 全身症状がある
- 免疫力低下する疾患がある
- 過去に腎盂腎炎の既往がある
などなど腎盂腎炎を疑う方はぜひ点滴で加療していただければと思います。腎臓を点滴で洗い流すと同時にばい菌をやっつける抗菌薬を直接血管内に投与致します。同時に当院では採血で
- 白血球
- CRP
といった炎症反応を院内で10分程度で測定できます。この炎症反応は重症度の一つの目安になります。重症度が高い方は、
- 横浜労災病院
- 川崎市立井田病院
- 関東労災病院
など総合病院と連携してご紹介させていただければと思います。腎盂腎炎はばい菌が全身に回りえる危険な病気です。重症の場合は入院で治療が必要なこともありますので、決して軽視できない病気です。このように当院では軽症例から腎盂腎炎までの重症例まで幅広く初期対応を行っております。
まとめ
- 尿検査を行うトイレが待合室のトイレとは別に用意して患者様にご配慮しております。
- 尿検査試験紙にて迅速に、膀胱炎かどうかおよび重症度を判断しております。
- 膀胱炎に対して、耐性菌に配慮した抗菌薬を処方してまいります。
- 薬が効かなかった時のために尿検査の尿を培養検査同時に行い、どのような菌でどのお薬が効くか確認してまいります。
- 症状がひどく腎盂腎炎を疑う場合は、採血および点滴加療で現状評価及び治療を行っていきます。
膀胱炎は女性に非常に多い病気です。『あっ』と思ったときにすぐに病院に受診することで、ばい菌が繁殖する前に治療することができます。当院は、週7日、夜遅く診療することでいつでも気軽に患者様に受診できる病院を目指しております。
泌尿器じゃないからダメかなぁっと遠慮なさらず、予約外でも良いので気楽な気持ちで受診していただければと思います。